夢の歯車

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現実世界よりも電脳世界での方が心休まるのは彼がORACLEの守護者であるからだろうか。
音井宅より電脳世界へダイブした後にORACLEで休んでいたオラトリオ。
「あれ?」
そんな彼が目覚めたのは相棒の何処か間の抜けた。なのに、かなり疑問に思っているだろう声が聞こえたからである。
「どうかしたのか」
「オラトリオ、カシオペア邸とのネットのリンクが切れた」
「はぁ?シンクタンクに何かあったのか?」
カシオペア博士のネットワークはシンクタンク・アトランダム内部に存在する。
その為にシンクタンクもまた何がしかの異常が起きたのかと思いオラトリオは訊ねたが、オラクルは首を振り。
「いや、シンクタンク自体のネットワーク状況は好調だよ。ただカシオペア邸のホームセキュリティが何らかの負荷がかかってしまったらしい」
「お嬢さんに何かあったのか」
ホームセキュリティを管理しているのはAナンバーズであるエモーションだ。
親しい幻想少女(バーチャルガール)の安否も気にかかれば、ホームセキュリティの異常という事態にカシオペア博士の安否も気にかかった。
「わからないんだ」
オラクルはもどかしいげに言ったが彼らがどんな状況だかわからない状態というのは望ましくはないが、必要以上に暗く考える必要もない。
「あそこにはAナンバーズが揃ってるんだ。大丈夫だろ」
カシオペア邸にはエモーションだけでなく、アトランダム、ユーロパ、クワイエット、クイックがいる。
クイーンはラヴェンダーと共に現在は行動している為に純粋な戦闘タイプはいないが戦闘タイプに匹敵するHFRは半数。
「そうかもしれないが……」
「こちら側から復旧の手伝いが出来ないか働きかけてみよーや。相棒」
考え込む事はいつでも出来る。
「あぁっ!」
それなら、少しでもはやく旧友の元気な姿を見れるように努力をしたほうがいい。
オラトリオはそう考えてオラクルのサポートを受けながら、ダウンしたカシオペア邸のネットを復旧にかかる。
「確かカシオペア邸には緊急時の避難空間があったよね」
「あぁ、エモーションの為のな」
幻想少女であるエモーションは電脳空間でしか存在できないのである。
その為に万が一の可能性を考えてカシオペア邸のネット空間とは違う系統で避難場所を設けてある。
「まずはそちらにコンタクトをとったらどうだろう」
そうであるならば今回の事態はその避難場所に一時的に移動している可能性は高い。
逆にそこにいなければエモーションのプログラムに何らかの損失を受けた可能性が出てくる。
「だな。その方がホームセキュリティの復帰もはやい」
エモーションは無事でそこにいる。
その願いを込めてオラトリオとオラクルは避難空間へ回線を繋げていく。

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